古代中国から伝わりし風習である「五節句」のなかで、一年のはじめに行われるのが「人日(じんじつ)の節句」です。桃の節句や端午の節句とくらべてあまり馴染みのないもののように思われがちですが、「七草粥を食べる日」といえばきっと合点がいくでしょう。
実はこれらのような節句は、中国ではもともと五節句の他にも多く定められており、平安時代には「節会(せちえ)」として貴族の間で、いわゆるパーティーの文化として親しまれていました。そして時が流れて江戸時代ごろになると、節句の中から幕府が五つを選び、日本の公式行事としたのです。
とはいえ、人日の節句については「七草粥を食べる」以外の風習や、まつわる歴史などについては、あまり知られていないものかもしれません。今では季節になるとスーパーなどで「七草粥セット」が売られるようになりましたが、昔の人は冬の野山に分け入って、それぞれの若葉を手ずから摘み取ることもこの風習の一部でした。
平安時代から続く日本の風習、人日の節句の行事について、後世に伝えるためにもいくらかの知識を手に入れてみましょう。まずはその歴史から紐解いていきます。