日々の暮らしの中で、「今日は何かちょっと違うことをしてみたい」と思う瞬間はありませんか?
そんな時、一日で完結する小さな「一日一つ」の習慣を試してみるのはいかがでしょう。
いつもは通り過ぎる小路に入ってみたり。
ふだんは頼まない飲み物を選んでみたり。
今日は何の日か調べてみて、それにまつわることをしてみるのも素敵です。
特別な準備や継続するプレッシャーは必要ありません。その日だけ、いつもと少し違うことを愉しむだけでいいのです。
一日一つ、気軽な目標を決めることで、その日の暮らしに小さな彩りや発見を加えることができます。
今回は、そんな「一日一つ」の習慣を愉しむためのヒントをお届けします。
今日から気軽に取り入れて、その日の気分をちょっと豊かにしてみませんか?
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毎日「一つの愉しみ」を見つけてみる
さて、「一日一つ」の習慣とは、どういったものでしょう。
ontowaがお勧めする、一日一つの習慣。
それは、「一日一つの愉しみ」ともいえます。
例えば、年の初めや次の季節を迎える時、「新しいことをやってみたい!」と思うことって、あると思います。
けれど、いくつも同時に始めたり、大きすぎる目標を立てたりしたら、パンクしてしまうかも。
そこで、無理せずに、毎日「一つの愉しみ」を見つけてみてはいかがでしょう。
一つの愉しみを見つけられたら、その時の気持ちをよく覚えておくといいですよ。
たった一つでも、やってみると意外と達成感があるものです。
そうして後から振り返ってみた時、あっと驚くような思いがけない発見があるかもしれません。
一つ一つは小さくても、それが一ヶ月になったら、30個になります。
小さな習慣を続けていけたら、いつもの暮らしに活気が生まれて、心地よい気持ちになれますよ。
「一日一つ」の習慣を見つけるヒント
それでは、「一日一つ」の習慣を見つけるためのヒントを紹介していきます。
まずは、今日、明日やりたいことや、愉しいと思うことを、手帳などに書き出してみてください。
そこから、やってみたいものを選んでいきましょう。
五感を使った「発見」から
- 看板や花など、目に映る色に注目して眺めてみる
風の強い日などは、つい視線を下に向けがちですが、あえて顔を上げて、周りの「色」に注目してみましょう。
例えば、昼の青空、オレンジの看板、夜空の月、信号の緑色など。
頭の中で色と色を掛け合わせてみたり、混ぜてみたりしても面白そうです。
身の回りにある色って、案外種類が多いもの。 きっと、心の中にもカラフルな色があふれてきますよ。
- 鳥の声や風、雨の音に耳を澄ます
いつもは聞き流してしまう自然の音に、耳を傾けてみましょう。 風が木々を揺らす音も、よく聞いてみると、その時々で表情があるように思えます。 リズミカルな雨音には、好きな歌を合わせたくなってくるかもしれませんね。
- 好きな香りのあるものを使ってみる
仕事や家事などをがんばった日には、ほっと一息つくための「愉しみ」を。 アロマオイルやお香などで、好きな香りを堪能することで、心も体もゆったりとほぐれていきます。
香りの文化 – 香りを聞くこと –
https://ontowa.com/listening-to-incense/
- 季節や栄養を考えた献立を組み立てる
毎日の食事、つい同じメニューを選んでしまいがちですよね。
けれど、新しい季節が始まる時や、栄養が足りていないように感じた時は、旬の野菜やお魚などを使ったお料理にしてみるといいかもしれません。
旬のものを使った料理は、見た目も華やか。
疲れた体をやさしく包み込み、英気を養ってくれることでしょう。
整える食レシピ
https://ontowa.com/category/food-recipes-for-mind-and-body/
- マッサージやストレッチ、ヨガをしてみる
マッサージやストレッチは、自分の体をいたわるためにも大事なこと。
大きく深呼吸しながら体を動かせば、新しい空気が全身をめぐり、リフレッシュにもなりますよ。
瞑想とヨガで心地よく整える心と体
https://ontowa.com/mind-and-body-comfortably-prepared-through-meditation-and-yoga/
毎日の暮らしの中で「何か」を残してみる
私たちは、たくさんの情報に囲まれて過ごしています。
覚えておきたいことも、いつの間にか忘れてしまうことって、よくありますよね。
私たちは今日、何に感動したのか、何を嬉しいと思ったのか。 そうしたことを行動で示してみると、その小さな感動が、誰かの心を支えてくれるかもしれません。
- 誰か一人に感謝の気持ちを伝えてみる
家族や職場の人、お店の人などと交わす、何気ない会話。
実は、それが心の活力になることもあるのです。
お買い物をした時や、道を譲ってもらった時などに、「ありがとう」と心をこめて言ってみる。
そう言われた人は、言葉と一緒に、やさしさをも受け取ることができます。
あたたかい気持ちのバトンをつないでいきたいですね。
心地よい感謝の心の育み方
https://ontowa.com/comfortable-gratitude/
- 一枚の写真を撮る
- 一日一行の日記を書く
日々の小さな記録も、後から見返すと大切な思い出の一つ。
例えば、雨上がりに濡れた路地がきれいだったとか。
夕暮れ時の帰り道、お味噌汁のにおいがしたとか。
心に留まったものを写真に撮ったり、手帳などに日記を一行でも書いてみたりすると、毎日が特別なものだと実感できます。
心を込めて書く、一文から生まれる心地よさ
https://ontowa.com/the-comfort-of-writing-with-all-your-heart/
簡単なチャレンジを考えてみる
少し余裕のある日は、簡単に達成できるチャレンジをしてみてはどうでしょうか。
例えば、「一つだけ」と決めてやってみるのもいいですね。
- ふだん行かない道を一つ選んで歩く
- 部屋の一区画だけ片付ける
- 興味のある本や記事を一つだけ読む
「ちょっとやってみよう」と思える程度にすることで、気軽に取り掛かれます。
心地よいさんぽと日光浴でリフレッシュ
https://ontowa.com/refresh-yourself-with-a-pleasant-walk-and-sunbathing/
私たちは、日々どれだけたくさんのことをしたか、と考えてしまいがちです。
けれど、心地よく暮らすために大切なことって、「心が満足すること」も深く関わっていると思います。 小さなことでも一つずつ、心を満足させていきたいですね。
「一日一つ」を習慣にするためのコツ
「でも、毎日考えるのは大変じゃない?」という気持ちもあるでしょう。
そんな方のために、「一日一つ」を習慣化するコツをお教えします。
- やらない日も愉しむ
「今日は何もしない」を選ぶ日も含めて、自分らしいペースを見つけましょう。
- その日だけで完結することを意識する
翌日に持ち越さないことがポイント。「今日を愉しむ」という意識を大切に。
- ハードルを低くする
簡単で気軽にできることからスタートしてみましょう。
- やりたいことをリスト化する
やりたいことや気になることをメモしておき、その日の気分で選ぶ。選択肢があると愉しく取り組めます。
- 終わった後に振り返る時間を持つ
「やってみてどう感じたか」を軽く考えてみる。新しい発見やワクワクした気持ちが、モチベーションにつながります。
- できたことを記録する
ノートやスマホに簡単な記録を残しておくと達成感が増し、次への意欲が湧きます。
- 気負わない
「できる時だけやればいい」と自分を許すことも大切。無理せずに愉しむことが長続きの秘訣です。
- 仲間を作る
家族や友人と「一日一つ」を共有することで、新しいアイデアが広がり、喜びも倍増します。
- タイミングを決める
朝の支度中、昼休み、寝る前など、自分の生活リズムに合うタイミングを決めると習慣にしやすいですよ。
- 季節やイベントを活用する
季節やその日の特別な出来事に関連した内容を取り入れると、さらに充実感を感じられます。
やるべきこと、やらなければいけないことという考えにとらわれてしまうと、心がせわしなくなってしまいます。 気持ちに余裕を持ちながら、気楽に試してみてください。
一つで六つ行ったことに「六度万行」の教え
最後に、一日一つの習慣を考える際に、心に留めておきたい日本に伝わる仏教の教えをご紹介します。
それは、「六度万行(ろくどまんぎょう)」と呼ばれるものです。
六度万行の「六度」とは、大乗仏教において悟りを開くために必要な、6種類の良い行いのこと。 「万行」とは、すべての行いのことを指します。
- 布施(ふせ/親切にする)
- 持戒(じかい/決まりを守る)
- 忍辱(にんにく/我慢する)
- 精進(しょうじん/一生懸命行う)
- 禅定(ぜんじょう/落ち着いて考える)
- 智慧(ちえ/正しく判断する)
※『松山風竹』より1
六度万行はさまざまな解釈の仕方がありますが、「これらの6種類の良い行いをすれば、すべての良い行いをしたことと同じになる」という意味にも捉えることができます。
良いことをするという心がけは、急にたくさんやろうと思ってもなかなか難しいもの。
でも、一日に一つの習慣に、こうした考えを少しでも取り入れて「良い行い」をしていけたら、日々の暮らしの中にささやかな幸せが広がるような気がします。
一日一つの習慣で心と体を豊かに
小さなことを、毎日、少しずつ。
そう心がけていくことで、素敵な驚きと出会えるかもしれません。
例えば、いつもは通らない道を散歩したら、美味しいパン屋さんを見つけたり。
お店の人にお礼を言ったら、学生時代の友だちだったり。
改めて考えてみると、物事は、やってみないと結果が分からないことがほとんどです。
毎日の小さな、嬉しい驚き。
それは、あなたの暮らしをもっと心地よいものにする、やさしいエッセンスとなることでしょう。
何か特別な準備をしたり、大きなことを成し遂げようとしなくても、その日の気分で選んだ「一日一つ」の行動が、新しい愉しみや心のゆとりをもたらしてくれるはずです。
難しく考えず、その日のちょっとした出来事を味わうつもりで、気軽に試してみてください。
「一日一つ」を愉しむことで、普段の暮らしの中に小さな幸せが増え、心がふっと和らぐひとときが訪れますように。
<引用文献>
1 林竹次郎『松山風竹』明治書院、1934年、p.322
https://dl.ndl.go.jp/pid/1233963/1/180
<参考文献>
WEB版新纂浄土宗大辞典「ろくどまんぎょう/六度万行」(最終閲覧日:2024年12月20日)
https://jodoshuzensho.jp/daijiten/index.php/%E5%85%AD%E5%BA%A6%E4%B8%87%E8%A1%8C