津軽塗テーマの映画「バカ塗りの娘」バカ塗りとは?本編イチブと新たな30秒予告が解禁!

こんにちは、工芸と心地よい暮らしを探すメディアontowaです。

映画「バカ塗りの娘」は、当メディアの注目作品として紹介させていただいています。

これまでの記事は👉 映画バカ塗りの娘

2023年7月6日よりontowa枠にて、キャストも登壇予定の試写会参加の募集も開始しておりますので、ご興味ある方はご応募ください。

👉 津軽塗テーマの映画「バカ塗りの娘」完成披露試写会にご招待! キャストの登壇も予定

また、「津軽塗」のことを知らなかったけど興味が湧いてきた方には、当メディアの記事「バカ塗りこと津軽塗の魅力」もオススメさせていただいています。(本記事は映画公開まで無料公開とさせて頂いております。)

さて、この度、“バカ塗り”という津軽塗の通称について説明する本編映像と、新たなシーンが追加された30秒予告が解禁されました。

あわせて鶴岡慧子監督、主演の堀田真由さんのコメントも届きましたので、紹介させていただきます。

バカに塗って、バカに手間暇かけて、バカに丈夫、の三大バカ

映像は、青森を訪れた観光客から“バカ塗り”という津軽塗の呼び名の理由を問われた旅館の亭主が「津軽塗は何十回も塗っては研いで、塗っては研いでを繰り返して、ものすごい手間をかけて作るんです。それでバカ丁寧という意味だとか」と説明するシーンから始まります。

タイトルにもある「バカ塗り」は、津軽塗のことを指す言葉で、完成までに四十八工程あり、バカに塗って、バカに手間暇かけて、バカに丈夫と言われるほど、“塗っては研ぐ”を繰り返すことを指しています。

映像では、津軽塗の代表的な塗り方のひとつ「七々子塗」や「唐塗」で仕上げられた漆器も鮮やかに映し出されていますが、劇中でも、それらの作品が職人の手でいかにして創り上げられているのか、津軽塗の完成までの工程を1カット1カット、塗りの映像や音と共にじっくりと見て感じることができます。

津軽塗の、あの小さな丸模様(七々子塗)をどうやって作っているかも丁寧に解説された映像ですので、じっくりとご覧くださいね。

二年半の歳月をかけて脚本を完成

鶴岡監督は、本作の脚本を執筆する過程で津軽塗の本を熟読し、その上で津軽塗職人に脚本を読んでもらったと明かし、

「職人さんに読んでもらうと、『これはよそいきのもので、職人の感覚や経験で培ってきているものとちょっと違う』と言われました。

津軽塗の本には、乾かすのには何時間とか、それぞれの工程が表になって説明されているのですが、漆塗りは天気や気温、湿度にすごく左右されるので、絶対にその表通りにはいかないんです。

自分の経験と感覚を頼りに、実際に漆の状態を見て、次の工程に進めるか、もう少し漆風呂に入れておいた方がいいかなどを職人さんは見極めているそうです」と、

津軽塗の描写に関して、職人と密に擦り合わせて修正し、2年半という歳月をかけて脚本を完成させたと語ってくださいました。

漆風呂(うるしぶろ)とは、室(むろ)または漆室(うるしむろ)ともいい、塗った漆器を乾かすための空間(保管庫)です。
職人が、漆器を塗った後に、敷板にのせて戸棚にしまっているシーンをみたことがある方もいらっしゃるかと思いますが、あの戸棚が漆風呂です。

漆は、面白いことに、水分を蒸発させて乾燥するのではなく、温度24度~28度、湿度が70%~80%前後で、程よく
硬化します。(実は更に年月をかけて硬化していきます。)
高すぎる、低すぎる状態で硬化すると仕上がりがよくない結果になってしまいます。よって、湿度と温度の管理がとても大事になるため、季節や、その日の天候に左右されるのです。

漆風呂は、職人の工房などでは木製の戸棚をよく目にしますが、作品が入れば、木箱やダンボール箱などの場合もあります。内部を霧吹きなどで湿らせしつつ、ヒーターなどで内部を適温に温めるなどし湿度と温度を調整します。
本作の本予告でも漆風呂が少し映っていますが、映画をご覧になる際は、じっくりチェックしてみてくださいね。

”バカ塗り” とてもインパクトのある言葉

美也子を演じた堀田さんは「台本を読むまで、“バカ塗り”という言葉は知らなかったのですが、とてもインパクトのある言葉だなと思いました」と最初の印象を話し、さらに「ひとつのものを作るのにこれだけ時間をかけて作るのは、すごくエネルギーがいることですし、毎日いろんな変化がある中で同じことを続けることはすごく忍耐がいることだと思います。それをやり遂げる職人さんはすごくかっこいいと思いました」と津軽塗、そして職人の仕事についてコメントされました。

そんな津軽塗のシーンそのものからも、美也子や父・清史郎の生き様を感じることができます。

津軽塗を通して描かれる家族関係とは

今回合わせて解禁された30秒予告では、今までの予告映像にはなかった、美也子と兄のユウ(坂東龍汰さん)、美也子が想いを寄せる花屋の青年・尚人(宮田俊哉さん)の3人がピアノを弾きながら楽しそうに笑顔をみせるシーンが新たに追加されています。

津軽塗に挑戦することを悩んでいた美也子や、家業を継がないと決めたユウ、そして尚人が笑い合う様子は、津軽塗を通して描かれる家族の関係と変化に新たな期待が高まる予告となっています。

劇場で五感を研ぎ澄まし“バカ塗り”の魅力を是非堪能してみてくださいね。

先日、メディア向けの試写会に当メディアのプロデューサーが参加してまいりました。

上映前ですので、まだ詳しくお伝えできないとのことなのですが、日本の工芸、漆芸ファンの期待を裏切らない、かつ家族の物語としても素晴らしい作品に仕上がっていたとのことです。

本作の鶴岡慧子監督の演出にすっかりハマってしまったとのことで、他の作品を鑑賞しはじめたとか。

映画の全国公開は、2023年の9月1日から、青森県は先行公開で8月25日からです。

本作品との出会いをキッカケに、日本の漆芸、工芸にも興味を持っていただき、楽しんでいただけたらと思っています。

本作品が一人でも多くの方に届きますよう、一緒に盛り上げてまいりましょう。

映画「バカ塗りの娘」

2023年9月1日(金)全国公開 / 8月25日(金)青森県先行公開

【ストーリー】
「私、漆続ける」その挑戦が家族と向き合うことを教えてくれた――
青木家は津軽塗職人の父・清史郎と、スーパーで働きながら父の仕事を手伝う娘・美也子の二人暮らし。家族より仕事を優先し続けた清史郎に母は愛想を尽かせて出ていき、家業を継がないと決めた兄は自由に生きる道を選んだ。美也子は津軽塗に興味を持ちながらも父に継ぎたいことを堂々と言えず、不器用な清史郎は津軽塗で生きていくことは簡単じゃないと美也子を突き放す。それでも周囲の反対を押し切る美也子。その挑戦が、バラバラになった家族の気持ちを動かしていく――。

【クレジット】
堀田真由/坂東龍汰 宮田俊哉 片岡礼子 酒向 芳 松金よね子 篠井英介 鈴木正幸 
ジョナゴールド 王林/木野 花 坂本長利/小林 薫
監督:鶴岡慧子 脚本:鶴岡慧子 小嶋健作 
原作:髙森美由紀「ジャパン・ディグニティ」(産業編集センター刊) 
企画プロデュース:盛 夏子 プロデューサー:遠藤日登思 松岡達矢 福嶋更一郎 
ラインプロデューサー:大川哲史
撮影:髙橋 航 照明:秋山恵二郎 録音:髙田伸也 音響効果:齋藤昌利 美術:春日日向子 
装飾:松尾文子 衣裳:藪野麻矢 ヘアメイク:光岡真理奈
編集:普嶋信一 音楽:中野弘基 スクリプター:押田智子 スチール:蒔苗 仁 助監督:栗本慎介
製作:「バカ塗りの娘」製作委員会 制作プロダクション:アミューズ映像企画製作部 ザフール 
配給・宣伝:ハピネットファントム・スタジオ
(C)2023「バカ塗りの娘」製作委員会
2023年/日本/カラー/ビスタ/5.1ch/118分

公式サイト:https://happinet-phantom.com/bakanuri-movie/
公式Twitter:@bakanuri_movie
公式Instagram:@bakanuri_movie

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