九谷焼、金箔など日本のさまざまな伝統工芸品の生まれ故郷である石川県は、世界に誇る和製漆器の代表的産地の一つでもあります。石川県には三つの漆器産地があります。
塗りに秀でた輪島塗、蒔絵に秀でた金沢漆器、そして「木地作り」に最も秀でている山中漆器の三つです。
山中は、多くの木地師による挽物作りの技術が高く、その生産量が全国一といわれており、「木地の山中」と呼ばれています。
山中塗ともいわれますが、山中漆器の魅力はなんといっても木地挽きの技術による繊細な造形。また、木目を生かした塗りの美しさでも最高峰であるといわれています。
そんな山中漆器は、安土桃山時代ごろに良質な木材を求めて加賀を訪れた木工の職人集団がルーツであるのだとか。
今回は、山中漆器の歴史から、その魅力について探ってみましょう。