備前焼 – 日本六古窯巡り –

瀬戸、常滑、信楽、丹波、越前と並ぶ日本六古窯のひとつ、備前焼。六古窯の中でも最も古く、平安時代後期の創始であるといわれ、古墳時代に作られていた須恵器(すえき)という土器の流れをくむ、無釉のやきものです。

岡山県備前市周辺に築窯してから、1000年近くもの歴史が受け継がれてきました。

絵付けもない、非常にシンプルな様式の備前焼ですが、薪窯で1、2週間という時間をかけて焚きあげられ、「窯変」という自然の火の効果により、やきものひとつひとつ人の手によらない模様が付きます。

その素朴で奥行き深い美しさから、安土桃山時代の茶人たちの侘び寂びの美学において見出され、茶陶として愛されてきました。

土と火、そして人の手により作り上げられる備前焼は、今もなお人々の心を魅了し続けています。

今回は、この備前焼について、紹介します。

0 Shares:
You May Also Like
続きを読む

瀬戸焼 – 日本六古窯巡り –

日本六古窯のひとつである瀬戸焼は、愛知県瀬戸市で作られるやきもの。 磁器のことを同じく「せともの」と呼ぶように、瀬戸焼は日本において代表的かつ最も古い磁器の産地であり、六古窯の中でも唯一の施釉陶器の窯元です。 瀬戸層群と…
続きを読む

焼きものの材料と焼成方法

私たちの日常の食器の中でも最も身近な素材である陶磁器。うつわの形に形成した粘土を窯で焼くことから、一般に「焼きもの」とも呼ばれます。 日本の焼きものは、縄文時代より続く非常に長い歴史があります。安土桃山時代ごろには、茶湯…
作家ものの陶磁器01
続きを読む

作家ものの陶磁器の扱い方

うつわの世界は奥が深く、一度のめりこめば、自分の宝物を増やしていくかのように、好みのものを探し求めたくなるもの。 陶磁器のうつわも、古来からまさに宝物として扱われてきた歴史があります。室町時代には、茶の湯で使われる茶道具…
続きを読む

心地よい有田焼のある暮らし

透き通るような白さの美しい磁器。日本の磁器の代表といえば、磁器を意味する「せともの」という言葉の由来となった瀬戸焼や有田焼がまず挙げられるでしょう。 瀬戸焼は日本の家庭に普及した日用のうつわとしての歴史が長いですが、有田…
続きを読む

心地よい小石原焼のある暮らし

日本の九州地方には、日本で初めて磁器の生産をした有田焼をはじめ、多くの焼き物の産地があります。中でも、中東部の朝倉郡小石原で作られている小石原焼(こいしわらやき)は日本の陶器の中ではめずらしく、磁器生産が始まった後に開山…
続きを読む

心地よい萩焼のある暮らし

とろりとした質感の乳白色の釉薬に、ほの赤いざっくりとした素地が特徴の萩焼。 山口県萩市に伝わる伝統的工芸品で、主に茶の湯の世界で高く評価されてきました。 高麗茶碗の伝統を受け継ぐ萩焼は、16世紀の戦国時代から続く茶陶の定…