「見立て」のはなし

花器と花

形や色は好きだけど、どんな使い方をしたらいいかわからない。たまに、そんなうつわに出会うこともあるかもしれません。

皿や茶碗、花入れなど、食器や花器はおおよそ使い道が決まっています。とはいえ、それ以外の使い方をすることも、決してタブーではありません。コップに花を生けるのも、お茶碗をカフェオレボウルに使うのも、使い手の自由です。

特に、食器と草花の組み合わせは意外なほどマッチします。うつわを買うとき、食べ飲みする目的だけでなく、花と一緒に飾って楽しめそうなものを選ぶことも、日常の楽しみ方のひとつになるでしょう。

そして日本には、色々なうつわや身の回りのものを想像力豊かに使い、思いもよらない方法で花を飾ったり、情景を作り出したりする「見立て」という文化があります。

今回は、工芸をより楽しむ上で知っていて損はない、この「見立て」について、うつわと共にご紹介します。

0 Shares:
You May Also Like
続きを読む

心地よい九谷焼のある暮らし

硬質で美しく、品質の高いことで知られている日本の陶磁器の中でも、ひときわ鮮やかな色彩をはなつ九谷焼。石川県を代表する工芸の一つです。 赤、青、緑、紫、黄の五色を用いる「五彩」は九谷焼の代名詞として有名ですが、「金蘭手」と…
続きを読む

備前焼 – 日本六古窯巡り –

瀬戸、常滑、信楽、丹波、越前と並ぶ日本六古窯のひとつ、備前焼。六古窯の中でも最も古く、平安時代後期の創始であるといわれ、古墳時代に作られていた須恵器(すえき)という土器の流れをくむ、無釉のやきものです。 岡山県備前市周辺…
続きを読む

心地よいスリップウェアのある暮らし

20世紀、明治~大正時代以降に発展した日本の現代陶芸は、伝統工芸品とはまた違った魅力があります。 なかでも、イギリスから渡来した技法であるスリップウェアは、日本の陶芸家や窯元でも一握りしか作っていない、貴重なもの。 スリ…
続きを読む

宝石のような美しさ、釉薬の秘密

陶磁器など焼きものを特徴付ける、ガラスのような表面を作り出す釉薬(うわぐすり)。 時にはサラッとしたマットな質感であったり、金属のような見た目のものもあるなど、実にさまざまです。 釉薬は、材料をミリグラム単位で調合するこ…
続きを読む

心地よい砥部焼のある暮らし

せともの、石ものなどとも呼ばれる磁器のうつわは、日本では主に西日本において、17世紀江戸時代初期ごろ発展しました。 起源は16世紀安土桃山時代に朝鮮の陶工たちによる登り窯の開窯、高温焼成技術および磁器の精製法の伝来に基づ…
続きを読む

受け継がれる七宝焼の輝き

「仏教に伝わる七種の宝玉を散りばめたように美しい」ことから、「七宝焼」と呼ばれる工芸品があります。金属を胎とし、釉薬を用いて彩色し、窯で焼き付けることで作られる、色彩と光沢の美しい繊細な細工です。 七宝焼は6~7世紀ごろ…