心地よい美濃和紙のある暮らし

ノートやコピー用紙など、西洋由来の洋紙を一般的な「紙」と呼ぶようになったのは19世紀の明治時代の頃からですが、元来、日本で使われていた紙は、洋紙とは作りが全く異なるもの。

木の繊維をすり潰したパルプから作った洋紙と違い、和紙は楮(こうぞ)をはじめとした木の皮の繊維が複雑に絡み合い、丈夫で破れにくく、また経年変化しても黄ばむことがありません。

和紙は文字や絵を書き残す用途以外にも、障子や提灯など建具や道具の素材となり、他にも古文書や絵画などの文化財の修復など、和紙にしかできない仕事がたくさんあります。

そのため、和紙は日本のみならず世界中で重宝されているのです。

そして、和紙の中でも日本最古の紙として知られているのが、岐阜県美濃地方に伝わる「美濃和紙」

約1300年前にはすでに美濃国で「美濃紙」という名称で紙が造られていたことがわかっています。

日本の伝統的工芸品というだけではなく、ユネスコ無形文化遺産にも登録されている美濃和紙は、美濃で生まれた世界の宝ともいえるもの。

今回は、この美濃和紙の歴史や魅力について、ご紹介します。

0 Shares:
You May Also Like
続きを読む

健康祈願と工芸

ときに、工芸品の中にはある種の「おまじない」が施されていることがあります。たとえば、新年に新しく手に入れて片目を描き、願いが叶ったときにもう片方の目を描く「だるま」も、おまじないのための工芸品ですね。 だるまは基本的に真…
竹細工のざると籠
続きを読む

変幻自在・日本の伝統 竹細工

日本をはじめとする東南アジア地域に幅広く生息する植物、竹。 竹の若い芽は食材である「たけのこ」として知られ、春の旬の香りを食卓に運びます。そして成長した竹は扱いやすく、加工するとあらゆる道具になり、大昔から日本の暮らしを…
続きを読む

工芸とアウトドア その1

いきなりですが、日本の伝統工芸品の中でも、素朴で、小柄で、可愛いらしいもの、魅力的ですよね。豆皿や箸置きのような小物を集めるのが好きな人も、結構多いのではないでしょうか。 その中には、持ち運びができて、人が密集しない屋外…
切子とガラスのカップ
続きを読む

美しき日本のガラス工芸

光を反射して輝くガラスは、今や私たちの生活に欠かせないものです。昼間に室内でも明るい空間で過ごすことができるのは、光を透過するガラス窓のおかげ。また、コップやサラダボウルなど、清涼感のあるイメージのうつわも、あたりまえの…
続きを読む

心地よい西陣織のある暮らし

古都・京都で平安時代以前より育まれてきた絹織物の歴史、その集大成である西陣織。 日本で最高の技術をもって作られる先染めの紋織物であり、日本の絹織物の最先端としての地位を築いてきました。 上代に秦氏により日本に伝えられたと…