小鹿田焼(おんたやき)は、大分県日田市の「皿山地区」と呼ばれる山間の窯で焼かれる陶芸。「皿山」という地名は福岡県の小石原にも同様にあり、小鹿田焼の兄弟窯として知られる小石原焼とのつながりが地図上でもみられます。
小鹿田焼は小石原焼の陶工を招くことで誕生した窯元であるため、いわば小石原焼の「弟」のような存在。しかし、これら兄弟窯の双方の様式が「化粧掛け」という技法で知られているものの、兄である小石原焼が弟である小鹿田焼の化粧掛けに影響を受けたことではじまったといわれています。
小鹿田焼は一子相伝の家業として受け継がれてきた窯業であり、窯元の総数こそ小石原焼には劣りますが、小鹿田焼の独特の様式や里の風景は他の何にも変え難く、また民芸運動の創始者である柳宗悦をして「世界一の民陶」と言わしめた遺産でもあります。
今回は、民藝ブームにおいて注目されている小鹿田焼について、歴史や様式美などを詳しく紐解いてみます。