「漆芸」とは、漆を使った工芸品、およびその技術や分野のことを指します。
もっと身近なたとえで言えば、漆を使った“塗りもの”全般のこと
漆は、ポリウレタンなどの合成樹脂と違い、天然の樹脂塗料です。抗菌性、耐久性を持ち、堅牢で柔軟な性質を持っているので、食器にも適した素材です。
また漆器は陶器と比べても一般的に軽量のため、持ち運びにも優れています。
そして何より美的であり、芸術としても世界的に高く評価されている、日本が誇る伝統工芸です。
漆芸の歴史は非常に古く、現在調べがついているだけでも、約1万2600年前のウルシの木片が、福井県・鳥浜貝塚で発見されており、これは世界最古の漆の使用例とされています。また、約9000年前の漆塗りの装飾品が、北海道函館市にある縄文時代の遺跡から出土しており、縄文時代にはすでに漆が生活文化の中で用いられていたことがわかっています。
縄文時代から漆の歴史が始まっているなんて、凄いですよね。
こんなにも古い時代から今日まで続く漆の世界。歴史や道具、製作工程について、制作に関わっていない私たちには、知らないことばかりです。
今回は、その仕上げ工程に欠かせない道具のひとつ、「研ぎ炭」について、お話しします。