越前焼 – 日本六古窯巡り –

日本六古窯の一つに数えられる越前焼。焼き締めのシンプルな陶器であり、鉄分を多く含んだ黒褐色の土肌が素朴で、絵付けなど華美な装飾のない、侘びた風情のある陶芸です。

越前の土は耐火度が高く頑丈に焼き上がるため、古くは大甕などの大きなうつわを得意とし、また壺のような貯蔵用品やすり鉢などの台所用品など、日用品を中心に生産していました。

今では「越前焼」として知られていますが、そう呼ばれるようになったのは、越前焼が六古窯として認められるようになってからのこと。それまでは「織田焼」また「熊谷焼」という集落の名前にちなんだ名前の方が馴染んでいました。

実は、1948年頃、古陶磁研究家の小山冨士夫氏に見出されるまで、越前焼は衰退の途にあったのです。

今回は、日本の民藝らしい趣ある越前焼について、その歴史や特徴を学んでみましょう。

0 Shares:
You May Also Like
続きを読む

心地よい九谷焼のある暮らし

硬質で美しく、品質の高いことで知られている日本の陶磁器の中でも、ひときわ鮮やかな色彩をはなつ九谷焼。石川県を代表する工芸の一つです。 赤、青、緑、紫、黄の五色を用いる「五彩」は九谷焼の代名詞として有名ですが、「金蘭手」と…
続きを読む

心地よい波佐見焼のある暮らし

波佐見焼(はさみやき)とは、長崎県の東彼杵郡(ひがしそのぎぐん)波佐見町で作られているやきものです。佐賀県の有田焼と同じようなルーツを持っていますが、高級磁器としての有田焼と異なり、波佐見焼は民間におけるシェアを伸ばした…
続きを読む

宝石のような美しさ、釉薬の秘密

陶磁器など焼きものを特徴付ける、ガラスのような表面を作り出す釉薬(うわぐすり)。 時にはサラッとしたマットな質感であったり、金属のような見た目のものもあるなど、実にさまざまです。 釉薬は、材料をミリグラム単位で調合するこ…
続きを読む

陶磁器のお手入れ方法アレコレ

作家ものやハンドメイドの陶磁器も、日々の暮らしの中で使っていると、茶渋がついてくるなどの汚れが付着することがあります。 マメなお手入れをすることで、永く使い続けることができます。 作家ものやハンドメイドの陶磁器について、…
続きを読む

心地よい壺屋焼のある暮らし

私たちは、流通システムの進化により、世界中の様々な地方や国の工芸品を自宅で手に入れることが可能になりました。 しかし陶芸は、その土地固有の素材と文化が融合して、特有の作品を生み出す、土着の工芸としての本質を持っています。…
続きを読む

沖縄陶芸「やちむん」の魅力

琉球方言で「焼きもの」を意味するやちむん。エメラルドブルーの美しい海に囲まれた環境で作られる陶芸って、なんとも魅力的です。 ぽってりとした厚みのある赤土のうつわは、おしゃれでナチュラル。生活に馴染む自然な風合いが愛される…