津軽塗テーマの映画「バカ塗りの娘」場面写真を一挙解禁!

こんにちは、工芸と心地よい暮らしを探すメディアontowaです。

映画「バカ塗りの娘」は、GW明けに「津軽塗テーマの映画「バカ塗りの娘」公開日決定、追加キャストも解禁!」の記事で当メディアの注目作品として紹介させていただきました。

掲載直後よりSNS等で多くの反響がございました。

あわせて、「バカ塗りこと津軽塗の魅力」も多くの方にお読みいただき、ありがとうございます。(本記事は映画公開まで無料公開とさせて頂いております。)

さて、この度、映画の主人公・美也子と彼女を取り巻く人々の姿を切り取った新たな場面写真が届きました。

あわせて映画評論家の皆さま、津軽塗職人・津軽塗関係の方々からのコメントも届きましたので、紹介させていただきます。

それでは、まずは映画上映に向けて、ますます期待が膨らむ写真の数々、一挙公開いたします。

津軽塗に向き合う真剣な想い

内気な性格ゆえに、本当は興味のある津軽塗に挑戦したいと素直に打ち明けることのできない美也子(堀田真由さん)。スーパーで働きながら父親の津軽塗の仕事を手伝う美也子が、「津軽塗で生きていくことは簡単じゃない」と反対する周囲を押し切り、ある大仕事に挑戦していく姿が描かれた一枚。

目の前の漆に向ける眼差しからは、津軽塗に向き合う真剣な想いがひしひしと伝わってきますね。

津軽塗職人としての“師弟の絆”

今回解禁された場面写真には美也子と家族の関係性も映し出されていました。父・清史郎(小林薫さん)と、祖父の代から記録してきた津軽塗の柄見本がまとめられた資料を並んで見る一枚。

とても穏やかな表情の父と、何かを覚悟したかのような娘の間には、親子の関係だけでなく津軽塗職人としての“師弟の絆”を感じさせます。

優しい兄と

家業を継がないと決め、家を出た美容師の兄・ユウ(坂東龍汰さん)との2ショットも公開されました。

父とは仲違いをして会話もままならないが、妹・美也子を可愛がるユウは、自分で切ったという妹の不揃いな髪を整えてあげています。優しい兄と妹の仲の良さが滲み出る一枚です。

ピアノ弾く花屋の青年と

美也子が漆以外に熱い視線を送るのは、花屋で働く青年・鈴木尚人(宮田俊哉さん)。

日も暮れた教室で微笑みながらピアノを弾く尚人、それを愛おしそうに見つめる美也子からは、ほのかな恋を予感させます。

宮田俊哉さん、どんな旋律を奏でるのでしょうね。

はやくも絶賛の声、続々!

※順不同・敬称略

ヒロインが、あきらめることをやめた時、日本の息苦しい現実に風穴があく。
主人公渾身の「バカ塗り」と、鶴岡慧子監督の映画づくりが二重写しになってきらきら光る。人の心を動かす表現の力が心にしみる希望の映画だ。

――恩田泰子(読売新聞編集委員)
日本映画で伝統的な芸道を描くと、どうしても成長譚カタルシスに走りがちだ。鶴岡慧子監督はその方式を採らない。ブレッソンが「手」に施した唯物的演出を、手作業の執拗な持続によって超越せんとする大胆な意志を貫いている。 

――荻野洋一(映画評論家)
人騒がせなタイトルは津軽の伝統工芸を守り引き継ごうとする娘へのリスペクト。父と呼吸を合わせるようにして、黙々と漆塗りと磨きを繰り返す娘の丁寧な演出に、鶴岡慧子監督の彼女への共感が感じられ、しかもどこか軽やかなのが素晴らしい。

――北川れい子(映画評論家)
何度も塗っては削る津軽塗の工程をじっくりと捉え続ける画面には、執念と葛藤と誠実が映る。
塗りの作業を続ける堀田真由と小林薫の無言の対話が、雄弁で美しい。

――中井 圭(映画解説者)
これは<扉>の映画である。あちら側とこちら側。そんな目には見えない境界線が、扉の開閉、或いはその動作によって繰り返し演出されている。そして<扉>を越えるたび、何かが成長するのだ。奇しくも斯様な反復は、幾重にも漆を塗ることとも似ているのである。

――松崎健夫(映画評論家)

津軽塗職人・津軽塗関係の方々からの応援コメントも

※順不同・敬称略

津軽塗の技術をしっかりと時間を使って、伝えている部分に本当に感銘を受けました。
また、静寂の中で津軽塗を制作している音が最高です!
作り手にしか聞こえない音は、映画をみるお客様に感動を与えることになると思います。
全国的に女性の作り手が増えてきているので、さらに後継者を発掘できる、きっかけになるはずです。感動しました。

――石岡 健一(青森県漆器協同組合連合会 会長 有限会社イシオカ工芸 代表取締役)
青木親子を通し、⾃分が祖⽗や⽗から教わった津軽塗職⼈として当たり前だった制作の景色を伝えたいなと思いました。一つのモノを丹念に作るだけでは無く、数百個もの同じ塗りのお椀を作ることもあります。師匠と弟⼦が並んで作業し、師匠が弟⼦に技術を見せ、覚えさせ、沢山の経験を積ませ、職⼈としての技術が上達していくのを、⻑い目で待つ。そんな師弟の姿も見てもらいたいなと思っています。

――津軽塗職⼈ 松山昇司(劇中津軽塗監修・指導)
木目の見える椀木地が、荒いものから細かいものに繰り返す下地工程を経て、仕掛けや塗りかけの模様付けまで丁寧に繰り返され、次第に見慣れた津軽塗のお椀になっていく。この映像と漆刷毛やヘラの音、砥石の音が、頑固に津軽塗を守ってきた父親と、この道を継ぐと決心した娘の無言の会話のようだった。

――九戸眞樹(元青森県工業試験場漆工部長)
津軽塗を題材にとりあげてくださって感謝します。塗っては研ぎを繰り返す津軽塗。同じような作業でも、一つ一つに理由があり、一つの工程の中でも、たくさんの事を考えながらの作業。湿度・温度の管理をし、季節で漆の調整をし、仕掛けでは音を聞き、粘りをみて高さを合わせながら打つ。錫分を撒きつける作業では漆に息を吹き、その色で半乾きのタイミングをみる。こだわり出せばキリが無いが、常に漆の声を聞きながらの作業。一筋縄ではいかない漆だが、その底力に助けられる。
冬の訪れに、白鳥の鳴き声が聞こえてくる。美しく仕上がった津軽塗も同様、ステキな贈り物のように感じる。そしてその地道な工程の末に美しい漆器ができる様は、なんだかこの土地での生活そのものにも感じる。津軽の四季と、津軽塗のある景色も感じてもらえると嬉しいです。

――津軽塗職人 山岡奈津江(劇中津軽塗監修・指導)
津軽塗は、下地からはじまり、模様をつけたり、色を重ねたり、研いだり、磨いたりさまざまな工程を経て生まれます。
映画の中では、それら全てが工程ごとに丁寧に描かれていています。
無骨な職人の雰囲気、作業中の音や工房の空気感もとてもリアリティがあるので、観る人に伝わったら嬉しいです。
また、映画の中にはさまざまなバリエーションの津軽塗も登場します。
主人公の家族たちそれぞれの生き方とともに
津軽塗の多様性もぜひ感じてください。

――gallery CASAICO 葛西彩子

見えない部分にもこだわる尊さを感じて

最後までお読みいただきありがとうございます。

漆芸は、完成形では見ることのできない下地の作業から多くの工程があります。

繰り返し、塗り、研ぎをかさねていく作業に手を抜かないことで、完成品の仕上がりが、より良いものになると言われています。

一見、単調な「繰り返し」に見えるかもしれませんが、決してそうではありません。

作り手は、五感をフル稼働して目の前の漆と自然のチカラと向き合いながら、あらゆる変化を意識しながら作っています。

漆芸の制作現場で、下地から何度も塗り、研ぐ工程を「繰り返す」行為や、その際の様々な音を聞いていると、まるで自然に対して祈りを捧げる神聖な行為に同席し、自らも清らかに整えてもらっているような感覚に包まれます。

目に見えない部分にもしっかりとこだわりを持って作ること。

今の時代において、とても尊いことのように思えます。

既に映画をご覧になった関係者の皆さまのコメントを拝見し、現場のリアルさが、たくさん詰まった作品とのこと。私たちも本作品への期待がさらに高まりました。

映画の全国公開は、2023年の9月から。もう少し時間があります。

本作品との出会いをキッカケに、日本の漆芸、工芸にも興味を持っていただき、楽しんでいただけたら嬉しく思います。

本作品が一人でも多くの方に届きますよう、一緒に盛り上げてまいりましょう。

映画「バカ塗りの娘」

2023年9月1日(金)全国公開 / 8月25日(金)青森県先行公開

【ストーリー】
「私、漆続ける」その挑戦が家族と向き合うことを教えてくれた――
青木家は津軽塗職人の父・清史郎と、スーパーで働きながら父の仕事を手伝う娘・美也子の二人暮らし。家族より仕事を優先し続けた清史郎に母は愛想を尽かせて出ていき、家業を継がないと決めた兄は自由に生きる道を選んだ。美也子は津軽塗に興味を持ちながらも父に継ぎたいことを堂々と言えず、不器用な清史郎は津軽塗で生きていくことは簡単じゃないと美也子を突き放す。それでも周囲の反対を押し切る美也子。その挑戦が、バラバラになった家族の気持ちを動かしていく――。

【クレジット】
堀田真由/坂東龍汰 宮田俊哉 片岡礼子 酒向 芳 松金よね子 篠井英介 鈴木正幸 
ジョナゴールド 王林/木野 花 坂本長利/小林 薫
監督:鶴岡慧子 脚本:鶴岡慧子 小嶋健作 
原作:髙森美由紀「ジャパン・ディグニティ」(産業編集センター刊) 
企画プロデュース:盛 夏子 プロデューサー:遠藤日登思 松岡達矢 福嶋更一郎 
ラインプロデューサー:大川哲史
撮影:髙橋 航 照明:秋山恵二郎 録音:髙田伸也 音響効果:齋藤昌利 美術:春日日向子 
装飾:松尾文子 衣裳:藪野麻矢 ヘアメイク:光岡真理奈
編集:普嶋信一 音楽:中野弘基 スクリプター:押田智子 スチール:蒔苗 仁 助監督:栗本慎介
製作:「バカ塗りの娘」製作委員会 制作プロダクション:アミューズ映像企画製作部 ザフール 
配給・宣伝:ハピネットファントム・スタジオ
(C)2023「バカ塗りの娘」製作委員会
2023年/日本/カラー/ビスタ/5.1ch/118分

公式サイト:https://happinet-phantom.com/bakanuri-movie/
公式Twitter:@bakanuri_movie
公式Instagram:@bakanuri_movie

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