津軽塗テーマの映画「バカ塗りの娘」公開日決定、追加キャストも解禁!

こんにちは、工芸と心地よい暮らしを探すメディアontowaです。

第1回「暮らしの小説大賞」を受賞した津軽塗が繋ぐ父娘の物語「ジャパン・ディグニティ」(髙森美由紀さん著)が、主演 堀田真由さん、鶴岡慧子監督で映画化されることをご存知ですか。

本作は、青森の津軽塗のひとつひとつの工程を丁寧に映し出し、津軽塗職人を目指す娘・美也子と寡黙な父・清史郎が、漆や家族と真摯に向き合うストーリー。

四季折々の風景や、土地に根付く食材と料理、人々の「魅力」を織り交ぜながら、つらい時、楽しい時を塗り重ねるように日々を生きる父娘が、津軽塗を通して家族の絆を繋いでいく姿を描いた作品です。

津軽塗は、当メディアの「バカ塗りこと津軽塗の魅力」でも紹介していますが、48もの工程を経る漆器で、その工程のほとんどが塗りを繰り返すことで進みます。気が遠くなるような塗りの作業を繰り返し、作品の完成まで2ヶ月以上の時間を要するほどの丁寧な工程から「バカ塗り」という異名がつくほど。

今回は、「暮らし」をテーマにした「暮らしの小説大賞」の第1回目を受賞した作品が、さらに工芸を扱っているということで、当メディアの注目作品として紹介します。

映画タイトルは「バカ塗りの娘」

映画タイトルは、その名も「バカ塗りの娘」。


2023年9月1日(金)より全国公開、8月25日(金)より青森県先行公開が決定しました。

主人公・美也子役の堀田真由さんが、将来への不安やほのかな恋心に心揺れる等身大の女性をたおやかに演じ、津軽塗職人の父・清史郎には、日本映画界には欠かせない俳優、小林薫さん。

そして、監督は、初長編作『くじらのまち』でベルリン国際映画祭、釜山国際映画祭などの映画祭で高い評価を得たのち、西加奈子の小説『まく子』の映画化も手掛けた鶴岡慧子監督。

普段から、工芸と心地よい暮らしが気になる読者の皆さま、ここまで読んで既に映画の内容が気になっているのではないでしょうか。

そんな皆さまに、今回、最新の予告映像が届きましたので紹介します。

予告映像とポスタービジュアルが解禁

鮮やかな赤い彩漆が垂らされ、職人の素早い手さばきでお椀にサッと漆が塗られるカットから始まる予告編は、塗っては研いでを繰り返し、手間暇かけて作り上げる津軽塗=通常“バカ塗り”の工程をその音とともに丁寧に映し出しています。

漆器の製作工程から始まる本映像、堀田真由さんと小林薫さんのお二人は実際に地元の職人から津軽塗の技法を教わり撮影に挑んだとのこと。

堀田真由さん、小林薫さんの所作が、職人さんを取材して各地をみてまわった私たちからするとなんだか懐かしい感じすらするもので、とても難しい工程を丁寧に演じてられていて、何回もリピート再生して魅入ってしまいました。

また、予告のところどころに流れる、面白いシーンの連続に、私たちも作品への期待が高まっています。

そしてポスタービジュアルも解禁されました。

解禁されたポスタービジュアルは、美也子と清史郎の2人が工房に並んで座り、黙々とお椀に漆を塗り重ねて研ぐ工程のワンシーンで、工房の様子も実にリアルです。

“ひたむきに塗る。ひたむきに生きる。”というコピーにあるように、一心に漆を塗る父娘の姿は、ものづくりに対する誠実な情熱を感じさせます。

また津軽塗の代表的な塗り方のひとつ「唐塗」で仕上げられた漆器が鮮やかに映し出されており、本作で描かれる津軽塗の魅力にも期待が膨らむ一枚ですね。

坂東龍汰さん、宮田俊哉さんの追加キャストも明らかに!

さらに、今回追加キャストとして、坂東龍汰さん、宮田俊哉さんも発表されました。お二人からコメントも到着しましたのでご紹介しますね。

主人公・美也子の兄・青木ユウ(あおき・ゆう)役の
坂東龍汰さんよりコメント

鶴岡監督の映画がとても好きなので今回お話をいただいた時は素直にとても嬉しく楽しみでした。

キャストの皆様とも以前に共演させていただいた方ばかりだったのでこの皆さんと家族になるんだと思うと安心感がありました笑

ロケ地である弘前市はとても美しい場所で毎日綺麗な空気を吸いながら土地に宿った力に身を任せ演じられました。津軽塗りの美しい職人技、静けさの中に響く音や画面いっぱいに広がる鮮やかな色は見ていて聞いていて一瞬で引き込まれうっとりしてしまいました。

家族のことを思い出して温かい気持ちになれる映画になっていると思います。

是非楽しみに公開を待っていていただけると嬉しいです。

<坂東龍汰さんプロフィール>
1997年5月24日生まれ、北海道出身。
2017年、俳優デビュー。18年、ドラマ「花へんろ 特別編 春子の人形」に初主演し、注目を集める。主な出演作に映画『十二人の死にたい子どもたち』(19/堤幸彦監督)、『閉鎖病棟─それぞれの朝─』(19/平山秀幸監督)、『犬鳴村』(20/清水崇監督)、『弱虫ペダル』(20/三木康一郎監督)、『スパイの妻』(20/黒沢清監督)、『冬薔薇』(22/阪本順治監督)、『峠 最後のサムライ』(22/小泉堯史監督)がある。現在、4月期TBS火曜ドラマ「王様に捧ぐ薬指」に出演中。映画『フタリノセカイ』(22/飯塚花笑監督)では第32回日本映画批評家大賞の「新人男優賞(南俊子賞)」を受賞。公開 待機作に、『春に散る』(瀬々敬久監督)がある。

美也子が淡い想いを寄せる花屋の青年・鈴木尚人(すずき・なおと)役の
宮田俊哉さんよりコメント

映画に出演する機会がこれまであまり無く、この作品のお話を聞いた時は嬉しかったです。

青森の漆という文化を深く知るきっかけになり自分にとって凄く学びになりました。

映画を拝見させて頂き、この作品の時間は緩やかに流れていて普段忙しなく生きている僕にとってはとても緩やかな良い時間を過ごすことが出来ました。

そして何より優しい気持ちになれる作品だと思いました。

主人公の美也子が淡い想いを寄せる花屋という役だったのですが、初めての挑戦が沢山あってやり甲斐を凄く感じ、とても幸せでした。

堀田さんや小林さんは本当に大変な撮影だったと思いますが、空き時間に色々なお話をしてくださって楽しかったです。

楽屋では坂東さんがムードメーカーで凄く明るくて和やかな空気感を作ってくれました。

<宮田俊哉さんプロフィール>
1988年9月14日生まれ、神奈川県出身。
2011年にKis-My-Ft2のメンバーとしてCDデビュー。12年に、ドラマ「私立バカレア高校」(NTV)、映画『劇場版 私立バカレア高校』(窪田崇監督)でドラマ・映画ともに初出演を果たす。その後も、アーティストとして活動する傍ら、俳優、声優、情報番組やバラエティ番組にレギュラー出演するなどマルチに活躍。主な出演作に、ドラマ「華麗なる一族」(21/WOWOW)、「ドクターホワイト」(22/KTV)、アニメ「デリシャスパーティ♡プリキュア」※(22/EX)、映画『劇場版 BEM 〜BECOME HUMAN〜』※(20/博史池畠監督)などがある。(※は声優)

工芸と心地よい暮らしが見つかる稀有な作品の予感

漆芸の製作現場、それも塗りの現場は、本来、職人以外が立ち入ると、ホコリなどが舞ってしまい製作ができなくなる恐れがあるため、なかなか見学もできない神聖な空間です。

その製作シーン、音を忠実に映し出した映像を映画館の大画面と音響で観る機会は、なかなかないでしょう。

そして、津軽漆職人の父娘の挑戦をコミカルに描いたという原作が、堀田真由さんをはじめとする魅力的なキャスト陣、製作陣によってどのような映画作品に仕上がったのか。

まだ予告動画を観たに過ぎませんが、映像も美しく早くも期待が高まる作品で、工芸と心地よい暮らしが見つかる素敵な映画の予感がします♪

工芸と心地よい暮らしをお探しの皆さま、ぜひこの秋は映画館で本作を楽しんでみてはいかがでしょうか。

この秋までまだ少し時間がありますが、5月19日(金)よりインターネットで座席予約ができる前売り券ムビチケカードの発売も決定したとのことですので、この機会をお見逃しなく。

映画「バカ塗りの娘」

2023年9月1日(金)全国公開 / 8月25日(金)青森県先行公開

【ストーリー】
「私、漆続ける」その挑戦が家族と向き合うことを教えてくれた――
青木家は津軽塗職人の父・清史郎と、スーパーで働きながら父の仕事を手伝う娘・美也子の二人暮らし。家族より仕事を優先し続けた清史郎に母は愛想を尽かせて出ていき、家業を継がないと決めた兄は自由に生きる道を選んだ。美也子は津軽塗に興味を持ちながらも父に継ぎたいことを堂々と言えず、不器用な清史郎は津軽塗で生きていくことは簡単じゃないと美也子を突き放す。それでも周囲の反対を押し切る美也子。その挑戦が、バラバラになった家族の気持ちを動かしていく――。

【クレジット】
堀田真由/坂東龍汰 宮田俊哉 片岡礼子 酒向 芳 松金よね子 篠井英介 鈴木正幸 
ジョナゴールド 王林/木野 花 坂本長利/小林 薫
監督:鶴岡慧子 脚本:鶴岡慧子 小嶋健作 
原作:髙森美由紀「ジャパン・ディグニティ」(産業編集センター刊) 
企画プロデュース:盛 夏子 プロデューサー:遠藤日登思 松岡達矢 福嶋更一郎 
ラインプロデューサー:大川哲史
撮影:髙橋 航 照明:秋山恵二郎 録音:髙田伸也 音響効果:齋藤昌利 美術:春日日向子 
装飾:松尾文子 衣裳:藪野麻矢 ヘアメイク:光岡真理奈
編集:普嶋信一 音楽:中野弘基 スクリプター:押田智子 スチール:蒔苗 仁 助監督:栗本慎介
製作:「バカ塗りの娘」製作委員会 制作プロダクション:アミューズ映像企画製作部 ザフール 
配給・宣伝:ハピネットファントム・スタジオ
(C)2023「バカ塗りの娘」製作委員会
2023年/日本/カラー/ビスタ/5.1ch/118分

公式サイト:https://happinet-phantom.com/bakanuri-movie/
公式Twitter:@bakanuri_movie
公式Instagram:@bakanuri_movie

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