「工芸品」というと、敷居の高いものを連想するかもしれませんが、シンプルに「工芸品」というと、「高い技術をもって作られた、美的で用途のある品」ということ。
「有田焼」や「山中漆器」のように産地のものだけでなく、個人のものや、現代作家の作品も含まれます。近年だと、まるで彫刻のような、使い勝手よりも装飾性を重視した芸術的な作品も多くありますが、「工芸品」「美術品」との違いは、ざっくりいえば「実用性に基づいて作られたか、鑑賞のために作られたか」という違い。
その境は緩やかですが、基本的には工芸品は「人が使う」ことが前提であり、「人ともの」が一対一の関係です。反対に美術品は、鑑賞する時に「人ともの」が多数対一の形態をとります。美術は作り手のひとつの作品を多くの人に見せる、工芸は作り手のひとつの作品を一人の手に手渡す、というイメージでしょうか。
ただ、美的な工芸品は「展覧会」というかたちで多くの人に披露することもありますよね。工芸品は美術品よりも比較的手に入れやすいということもあり、工芸作品の展覧会にはただ鑑賞のみではなく、好ましいと思った作品は手に入れるつもりで楽しみたいところ。
そんな工芸作品の鑑賞のコツも含め、「工芸の楽しみ方」についてお話ししていきます。