今から1400年も昔、推古天皇の時代には、日本で初めての位階といわれる冠位十二階が制定されました。最も位の高い冠位は紫色の冠が与えられ、大徳、小徳といいました。
現代ではありふれた色かもしれませんが、化学染料のなかった時代では、紫色は非常に貴重な色。日本だけでなく、古代ヨーロッパにおいても貴族のみに許される、高貴な色だったのです。
最も古いのは「貝紫」という、巻貝から抽出する紫で、こちらは大変貴重な染料。しかし時代を経るにつれ、染色の技術が発達すると、植物性の紫色を布や紙に定着させることができるようになります。
そうして生まれた日本の伝統色である紫色には、大きく分けて二種類。
京都の「京紫」と江戸の「江戸紫」です。古都の紫と新都の紫は、どのような違いがあるのでしょうか。
今回は、日本伝統の色、紫について、歴史や文化を紐解いてみましょう。
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