日本を代表する工芸として、「日本の革細工」というと、ピンと来ない方もいるのではないでしょうか。
実は、日本の革細工は5世紀頃より存在していたと日本書紀に記述があります。
そして17世紀より登場した「印伝(いんでん)」と呼ばれる革細工は、貿易によってもたらされたインド産の革細工に由来しており、のちに日本伝統の革細工の装飾技法を包括する言葉になりました。
今日、印伝といえば山梨県甲府で作られている「甲州印伝」が有名です。
鹿皮を用い、漆付けや「燻べ(ふすべ)」と呼ばれる燻製により装飾された革工芸は、西洋の革細工とも一線を画した様式美を備えています。
滑らかで柔らかな鹿皮に美しい装飾をほどこした甲州印伝は、いま海外デザイナーとのコラボレーションや「ウルトラスエード」と呼ばれる植物性革を用いた現代柄の製品まで、さまざまに革新を遂げています。
今回は、400年以上の伝統を持つ甲州印伝の起源や技法について知り、その魅力を追ってみました。