陶器や磁器のような陶芸作品は、600~1300度の熱で焼成(しょうせい)して作られます。それゆえに、日本では陶磁器のことを「焼きもの」と呼ぶことも。
人類はおおよそ3万年以上前から「粘土を焼くと硬くなり水に溶けなくなる」という焼きものの手法を得ていました。また、現在、日本では約1万6500年前に作られたとされる土器が発見されています。紀元前数千年前から、人々は焼きものを作り、生活の質をあげていたのです。
縄文土器のような古代のうつわは「野焼き」という、軽く地面に穴を掘って保温や防風効果を高めた焚き木に土器を入れて焼く単純な方法で作られていましたが、時代を経るにつれ、より高温で焼成できる窯を開発し、陶磁器の質を上げていきました。
そして現代では、ガスや電気を使って、家庭内でも火事をおこさず安全に高温で焼成できる機械も開発され、また粘土などの材料の流通も非常に広く行き渡るようになり、陶芸作家の幅も広がりました。
私たち人類の文明を象徴するような、この「焼きもの」の窯。この「窯」にはどのような種類があるのか、今回は、薪を燃料にする窯を中心に、歴史を遡りつつ順に見ていきましょう。