古代から日本に伝わる打楽器の形状として最も古い「鼓(つづみ)」。片腕で抱えられるほど小型の太鼓で、遣隋使の帰還とともに大陸より日本に伝来したといわれていますが、縄文時代にはすでに太鼓を用いた文化は存在していたとも推測されています。
鼓は筒型、または砂時計型の胴の両側に、皮面を「緒」と呼ばれる紐を用いて張られ、緒を締めたり緩めたりしてチューニングします。この点では他の太鼓と同じですが、日本の鼓は演奏中に緒を調節して音階を変化させる、世界でも特異な演奏法で奏でる楽器です。
現代の和太鼓演奏などは、地を這うような力強い響きが特徴の鋲太鼓を主に用いますが、雅楽や能など、日本伝統音楽の中でも歴史の古いものは特に鼓を用います。
抑揚のある不思議で繊細な調べ、そして音無くしてもそこに鎮座するだけで美しい、美術工芸品としても価値の高い鼓は、演奏を耳で聞くだけでなく、目で見ることでも鑑賞できます。
今回は、日本が誇る美しい楽器の鼓について、その心地よい調べの歴史と共に紐解いてみましょう。
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