肥後象がん – 武家文化の風雅な金工 –

a0218e6e0b4e5cf28d293bfa8a0f87fe 画像

「象嵌(ぞうがん)」とは、地に模様を彫り、そのくぼみに別の素材をはめ込む加飾技法の総称です。

「象」は「かたちづくる」、「嵌」は「はめ込む」を意味し、木工や陶磁、金工などあらゆる素材の工芸品に用いられ、金工の場合は金や銀などの貴金属の色彩や、打痕の隆起によって模様を表現します。

金工の象嵌技法は、中国大陸から朝鮮半島を経て、飛鳥時代に日本列島へ伝わったという説があります。しかし、古墳時代の刀剣類などの遺物に象嵌が施されていることが確認されていることもあり、起源はより古い可能性もあるようです1

日本の刀剣といえば、侍を象徴する刀です。

刀は現代では美術品として扱われているように、精密な意匠が凝らされています。

そして刀の装飾のなかでも、鞘に収めて腰に挿している時に最もよく見える鍔(つば)には、武器とは思えないような優美な象嵌が施されていることがあります。

特に、全国的に美術工芸が発展した17世紀以降の江戸時代では、「鍔は肥後」と呼ばれるほど肥後象がんの刀鍔が人気を誇りました。

今回は、現代の熊本県の伝統的工芸品である肥後象がんについて紐解きつつ、武士の美学について探りを入れてみましょう。

0 Shares:
You May Also Like
74322dce2bc33a87051a969e41edcccd 画像
続きを読む

心地よい山形鋳物のある暮らし

日本では、鋳造技術が伝わった弥生時代前期末(紀元前400年-紀元前300年)から、農具や武器、仏具などの鋳物が作られはじめました。 この技術は今も受け継がれており、特に歴史が古い鋳物が山形県の山形鋳物といわれています。 …
3ac2bfc8087800dc9d70ca7ebace3d3b 画像
続きを読む

健康祈願と工芸

ときに、工芸品の中にはある種の「おまじない」が施されていることがあります。たとえば、新年に新しく手に入れて片目を描き、願いが叶ったときにもう片方の目を描く「だるま」も、おまじないのための工芸品ですね。 だるまは基本的に真…