伝統420年東北最古の焼物「会津本郷焼」統一デザインの産地ブランド「HONGOWARE」をスタート

HONGOWAREカップ

東北最古の焼物「会津本郷焼」その産地組合である会津本郷焼事業協同組合(本社:福島県会津美里町、代表理事:弓田 修司)は、会津本郷焼の多様な特徴を表現する新プロジェクト「HONGOWARE(ホンゴウウェア)」をスタートしました。

このプロジェクトでは、長い歴史の中で培われてきた技法や素材の魅力を活かしながら、現代のライフスタイルに寄り添う、うつわづくりを目指すものです。

伝統と革新が融合することで、会津本郷焼がより身近な存在となり、わたしたちの食卓を彩るアイテムとして新たな可能性を広げる魅力的な活動です。

今回は、「HONGOWARE」誕生の背景や、その魅力についてご紹介します。

プロジェクト第1弾:マグカップを2025年3月10日に販売開始

プロジェクト第1弾として組合所属窯元の統一デザインのマグカップを以下日程で販売開始します。
価格は3,300~9,900円(税込)を予定
2025年3月10日(月):自社オンラインショップにて販売開始。
2025年4月10日(木):会津本郷陶磁器会館(組合共販所)にて販売開始。
 
【オンラインショップURL】https://shop.aizuhongouyaki.jp/
【会津本郷陶磁器会館アクセス】https://aizuhongouyaki.jp/aizuhongotoujikikaikan/

HONGOWAREの開発背景

HONGOWARE制作

プロジェクト名である「HONGOWARE(ホンゴウウェア)」”会津本郷焼”の”HONGO”と食器を意味する”TABLEWARE”を掛け合わせた造語で、このプロジェクトを通じて、会津本郷焼のファンになっていただき、手に取っていただいたお客様の食卓が会津本郷焼で満たされ、彩られるようになってほしいとの願いを込め名づけられました。

会津本郷焼は陶器磁器どちらの原料も産地で発見されたことで、陶器磁器どちらの焼物も作っている全国でも珍しい産地で、現存する12の窯元がそれぞれの個性を活かしながら、会津本郷焼と総称してよいものか迷ってしまうくらい、様々な作風、方向性を持ちながら作陶をしております。

そんな特徴を持つ産地だから故に、同じ産地の焼物として認識されにくいとの課題もありました。なんとか「会津本郷焼がもつ多様な特徴」を見ていただく方にわかりやすく表現することは出来ないかと試行錯誤を重ねていった結果、「統一したデザインの中でそれぞれの窯元の特徴を表現する」という方法にたどり着いたそうです。

HONGOWAREの特徴

会津本郷焼がもつ様々な特徴を統一した形状のなかで表現

会津本郷焼は、各窯元で「陶器・磁器」などの素材が違う事の他に、「絵付け・釉彩・面取り・しのぎ」など様々な技法を用いて制作を行っています。

HONGOWAREでは会津本郷という同じ産地の中で無数にある特徴を統一した形状の中で表現しています。

陶磁器デザイナーの阿部薫太郎氏監修

監修には長崎県の波佐見焼をはじめとした様々な陶磁器のデザインやプロダクトに関わっておりられる阿部薫太郎氏。

このHONGOWAREは、会津本郷焼のそれぞれの窯元が様々な素材や技法を用いて制作しているため、どんな素材や技法でも製作可能な形状に細心の注意を払いながら開発を進めるとともに、現在のトレンドを取り入れた形状の開発を実施しています。

<阿部薫太郎氏コメント>

今回お声掛けいただき、取り組みをご一緒して頂ける窯元さんを廻りました。各々が想うモノづくりの方向性や販路が違いまた規模感、生産量にも差がある産地である事がわかりました。ただ一つ、共通点があるとするならば”会津本郷焼”である事についての誇り。歴史的にも陶祖、磁祖がいることから多種多様である事を大切な要素と捉え今回、土の決定や成形方も各々に委ねディテールを揃える事には特に拘らないと決め試作開始しました。背は高すぎず口辺を広めにする事によりフォルムはドリンクウェアでありながらスプーンを使って食べる具沢山スープカップの様相も欲しいという欲張りな形状にしました。

今は無き”本郷”という地名を冠したこの「HONGOWARE」がそれぞれのシーンで活躍する事を願っております。

第一弾の商品開発にあたっては、関係者やお客様への聞き取り・アンケートなどを通して「どういった焼物が日常の生活の中で使われているか」などの声を集め、マグカップを製作することとなりました。

また、マグカップの開発にあたっていただいた意見の中で「たっぷり入るものがよい」という声や「飲み物だけでなくスープなどにも使いたい」などのより多様なシーンでの使用に応えられるよう、少し大きめのサイズでの商品化を行いました。

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阿部 薫太郎 ABE KUNTARO
陶磁器デザイナー・エンジニア。
1975年花巻市生まれ。大学院修了後、2000年 KONST FACK K&G(スウェーデン)に留学。
2年間のタイ国陶磁器メーカー勤務を経て2006年に帰国。
以降、陶磁器デザイナー、エンジニアとして国内外の企業、デザイナーとプロダクトを発表。2016年よりセルフメイドブランド「REDUCTION FACTORY」を展開。代表作に「HASAMI PORCELAIN」「Common」がある。
https://www.instagram.com/kuntaroabe/

今後の展望 ~会津本郷焼が食卓を彩る未来へ~

令和4年春のプロジェクト発足以来、組合内での検討を重ね、市場調査のためのアンケートを実施。さらに、監修を務める阿部薫太郎氏との調整を経て、3年もの歳月をかけて取り組まれてきました。

今後の商品開発においても、「HONGOWARE」を通じて、会津本郷焼がより多くの食卓を彩ることを目指し、多様な特徴を活かした新たな器の開発が続けられていきます。

手に取る人の暮らしに寄り添い、会津本郷焼を使うことで日常がより豊かに彩られる——。そんな思いを込めたものづくりが、これからも続いていくことでしょう。

HONGOWAREカップ-流紋焼2
流紋焼(りゅうもんやき)

会津本郷焼の歴史

文禄二年(1593年)に会津領主の蒲生氏郷の命を受け、若松城の城郭の屋根を瓦葺きとするため播磨国(兵庫)から瓦工を招き、黒瓦を製造したのが始まりとされています。

明治の中期~大正初期のころは海外特に欧米各国への輸出も盛んに行われており、そのころは会津本郷焼産地全体で100軒を超える陶磁器関連の事業所があったともいわれています。

平成5年(1993年)には陶器・磁器ともに伝統的工芸品産地として通商産業省(現在の経済産業省)より指定を受けています。

現在では12軒の窯元がそれぞれの個性を活かした作品を作り続けています。

【URL】https://aizuhongouyaki.jp/history/

会津本郷焼事業協同組合について

当組合は設立以来、会津本郷焼の振興に関わる事業として様々な事業を行っております。設立当初は原材料の採石場の管理および原料の販売がメインの事業でしたが、最近では組合員の商品の小売りや卸売りがメインとなってきております。

組合の事業を進めていく中で、新商品開発事業を行い様々な品物の制作にチャレンジしてきました。2016年にから開始した「西洋テイストを取り入れた和食器」プロジェクトでは「プレートセット」の制作を行い、2019年より自社ECサイトでの販売をスタートし、幅広い世代の方にご愛用頂いております。

今回のプロジェクトでは、これまでの新商品開発の実績も踏まえ、会津本郷焼という焼物をよりカジュアルに楽しんでいただくためのブランドとして「HONGOWARE」のブランド展開を行っていきます。

今後は、この「HONGOWARE」で様々な商品を展開していく予定です。

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【法人概要】
名称:会津本郷焼事業協同組合
本社所在地:福島県大沼郡会津美里町字川原町1823-1
店舗所在地:福島県大沼郡会津美里町字瀬戸町甲3162
代表者:代表理事 弓田修司
設立:昭和41年7月
事業内容:会津本郷焼振興に関わる事業
(後継者育成事業、意匠開発事業、需要開拓事業 等)
HP:https://aizuhongouyaki.jp/
ECサイト:https://shop.aizuhongouyaki.jp/
Instagram:https://www.instagram.com/aizuhongouyaki/?hl=ja

プレスリリース:PR TIMES
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000157431.html

編集後記

メディアをスタートする前、産地巡りをしていた際に、会津本郷焼の産地である会津美里町を訪れたことがあります。

その日は前日に降った雪が静かに積もり、町全体がしんとした白い世界に包まれていました。澄んだ空気の中、マップを片手に窯元を巡った記憶が今でも鮮明に残っています。

窯元が開いていたところでは店舗に入り、作品を拝見していましたが、どこも異なる個性を感じながら、ひとつひとつの作品に見入ってしまいました。

会津本郷焼の魅力は、陶器と磁器が共存し、それぞれの窯元が培ってきた感性が息づくうつわが、今もなお洗練された美しさと魅力を放ち続けていることです。

ある窯元では、可愛らしい温かみのあるうつわに心惹かれ、また別の窯元の作品では、きれいなブルーの幾何学模様が描かれたうつわに見とれてしまい、食卓での利用を想像してと、どの窯元のうつわも手に取るほどに魅力が増し、気づけば窯元や会津本郷陶磁器会館で、たくさんのうつわを購入していました。

この町には、今もなお焼き物の産地ならではの風情や、作り手たちの息づかいを感じさせる空気が漂っています。

そんな産地の町をを歩いているだけで、ものづくりの歴史がこの土地に根付いていることが伝わってくることでしょう。

さらに、気軽に工房に立ち寄って作品を手に取り、その場で購入できるというのも、工芸好きにはたまらない魅力のひとつ。

旅先で、ふらりと立ち寄るだけで、うつわとの思いがけない出会いがある。

そんな楽しみが詰まった、会津本郷焼の町、会津美里町。

あの日の雪景色とともに、また訪れたい場所のひとつとして心に蘇ってきました。

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