鼓の調べ

42332a208b04b87ded98dbe800b706dd 画像

古代から日本に伝わる打楽器の形状として最も古い「鼓(つづみ)」。片腕で抱えられるほど小型の太鼓で、遣隋使の帰還とともに大陸より日本に伝来したといわれていますが、縄文時代にはすでに太鼓を用いた文化は存在していたとも推測されています。

鼓は筒型、または砂時計型の胴の両側に、皮面を「緒」と呼ばれる紐を用いて張られ、緒を締めたり緩めたりしてチューニングします。この点では他の太鼓と同じですが、日本の鼓は演奏中に緒を調節して音階を変化させる、世界でも特異な演奏法で奏でる楽器です。

現代の和太鼓演奏などは、地を這うような力強い響きが特徴の鋲太鼓を主に用いますが、雅楽や能など、日本伝統音楽の中でも歴史の古いものは特に鼓を用います。

抑揚のある不思議で繊細な調べ、そして音無くしてもそこに鎮座するだけで美しい、美術工芸品としても価値の高い鼓は、演奏を耳で聞くだけでなく、目で見ることでも鑑賞できます。

今回は、日本が誇る美しい楽器の鼓について、その心地よい調べの歴史と共に紐解いてみましょう。

0 Shares:
You May Also Like
切子とガラスのカップ
続きを読む

美しき日本のガラス工芸

光を反射して輝くガラスは、今や私たちの生活に欠かせないものです。昼間に室内でも明るい空間で過ごすことができるのは、光を透過するガラス窓のおかげ。また、コップやサラダボウルなど、清涼感のあるイメージのうつわも、あたりまえの…
竹細工のざると籠
続きを読む

変幻自在・日本の伝統 竹細工

日本をはじめとする東南アジア地域に幅広く生息する植物、竹。 竹の若い芽は食材である「たけのこ」として知られ、春の旬の香りを食卓に運びます。そして成長した竹は扱いやすく、加工するとあらゆる道具になり、大昔から日本の暮らしを…