那須塩原市の広大な大地に佇む那須千本松牧場が、2025年4月15日、新たな風景とともにグランドオープンを迎えました。
運営するホウライ株式会社(代表取締役会長兼会長執行役員CEO寺本敏之)は、長引くコロナ禍の影響等による観光客の減少を改善すべく、2021年から本格的なリブランディングをスタート。
1893年の創業以来130年以上にわたり「自然との共生」を理念に歩んできた同牧場は、旧施設の解体、施設全体のリニューアル、新商品の開発、そしてランドスケープの再構築など、循環型酪農を軸とした“PURE MILK FARM”としてリブランディングを進めてきました。
今回の取材では、グランドオープン当日に現地にて、整備を終えて公開された新施設「千本松テラス」や「温泉じゃぶじゃぶ池」、地元の味を楽しめる「千本松オープンカフェ」などを巡りながら、牧場が描く“心地よい未来”を体感してきました。
那須千本松牧場グランドオープン 注目のポイント
自然の魅力を最大限に生かしながら、地域とのつながりや訪れる人々との交流を深めることを目指して再構築された今回のリニューアル。
四季を感じる新たなランドスケープから、地元の味を楽しめるカフェ、家族やペットとの思い出を育む空間まで、多彩な魅力が詰まった“心地よい牧場”へと生まれ変わっています。
ここでは、訪れる前に知っておきたい那須千本松牧場の注目ポイントをご紹介します。
那須野が原を一望できる新名所「千本松テラス」
敷地面積約11,000㎡、全面天然芝の「千本松テラス」は、四季のうつろいと共にくつろげる新たな憩いの空間。牧場内の森林から移植したモミジやアカマツなど、50種以上の植栽により、訪れるたびに異なる表情を楽しめます。
春には約200本の桜が300メートルにわたり咲き誇り、パラソル席に座ってゆっくりとその景色を眺められるのも魅力。
今回の取材時にも美しい桜並木通りを歩きながら、心癒されるひとときを満喫できました。
環境にも配慮されており、敷地内で掘り出された石や伐採木を再利用するなど、持続可能な設計思想が息づいています。
癒しと安心を備えた「温泉じゃぶじゃぶ池」
千本松温泉の源泉かけ流しの天然温泉水を活用した癒しの「温泉じゃぶじゃぶ池」が新たに誕生していました。
その泉質は、冷えた体を芯から温め、美肌効果も期待される天然のモール泉です。水深約15センチなので、小さなお子さまでも安心して遊べます。
今後、温泉池の周辺にベンチも設定予定とのことですので、牧場内でのんびりと過ごすひと時に利用してみてくださいね。
地元の味覚を楽しむ「千本松オープンカフェ」&マルシェ
ファームショップ近くに新設された「千本松オープンカフェ」では、週末限定で地元食材を使った軽食の提供を開始します。
メニューは、国産バナナスムージーや焼きおにぎり、千本松牧場牛乳や千本松牧場ミルクコーヒーのほか、栃木県産豚肉を使用した特製ソーセージのホットドッグなど、地元産品にこだわったメニューをご提供いたします。
栃木県産の食材を味わえるだけでなく、生産者さんとの交流もお楽しみいただけます。
また、昨年誕生した“にぎわい広場”では、地域生産者によるマルシェや体験型のアートイベントも継続開催中。地域と来場者の橋渡しとなる「交流の場」として、週末ごとに新たな賑わいが生まれています。
愛犬と楽しめるドッグラン、動物ふれあい広場、お子さま向けの遊び場も進化
ドッグランもリニューアルされ、4つの専用エリアを整備。全犬種対応、小型犬専用、さらにプライベート利用ができる区画も用意されました。
全面天然芝でワンちゃんの足腰への負担を軽減するように配慮。
さらに、日除け・雨除けに便利な東屋や、暑い日でも木陰で涼んでいただけるよう、夏に向けヒメシャラの木を植樹するなどの対策もおこなわれています。
取材当日も、ワンちゃんと連れたお客さまが牧場敷地内で楽しそうなひとときを過ごされている様子を多数拝見しました。とてもゆっくりとした時間を感じました。
どうぶつふれあい広場に新設の「放牧場パドック」では、牛の様子を間近に、1年中観察できるようになりました。
そして取材当日、なんと生まれたばかりの「ブラックノーズシープ」の赤ちゃんに会うことができました。早速、報道陣の人気者に笑
世界一かわいい羊と言われているブラックノーズシープの赤ちゃん。一般公開は未定とのことですが、今後が楽しみです。
その他にも自然の中で遊べるツリーハウス、すべり台ハウス、キッズクライミング、丸太遊具、ツリーブランコ、ウッドデッキ等、ホウライ社員の皆さまによる手作り遊具のキッズエリアも用意されまています。
広大な自然の中での心地よい時間を過ごせる仕掛けがたくさん。大人も子どもも思わず夢中になる、牧場ならではの遊びの体験が待っています。
牧場グルメもさらに充実!注目の新メニュー登場
千本松牧場牛乳を使用した、“ほろっ”とくずれる新感覚生クッキー「千本松のホロッホー」や、自分で焼いて楽しむ「栃木県産黒毛和牛の焼きすき」、人気プリン「PURE MILKプリン」には、新フレーバーの「ストロベリーミルク」と「キャラメルミルク」が登場しました。
迷ったときはコレ「栃木県産黒毛和牛の焼きすき」
地元・栃木県産の黒毛和牛を、目の前の鉄板で自分で焼いて味わう新メニュー「焼きすき」が登場しました。
霜降りならではのやわらかさとジューシーさが際立つ黒毛和牛を、特製のタレにくぐらせ、濃厚な地元産「那須御養卵」とともにいただく、こだわりの一品です。
絶妙な厚みにカットされた牛肉は重たすぎず、やわらかく口の中でほどけるような食感。お肉好きの方はもちろん、ふだん「噛みきれない」と敬遠しがちな方にも、牛肉本来の旨みととろける味わいを楽しんでいただけます。
たくさんのメニューに迷ったときは、まずはこの一品をセレクトしてみてください。
美味しかったなぁと忘れられない感じが残る一品です。
面白い新食感の程よい甘さが魅力の「千本松のホロッホー」
千本松牧場牛乳をたっぷり使った、新感覚スイーツ「生クッキー」が登場。ミルク、キャラメル、いちごの3種類のフレーバーで展開されています。
口に入れると“ほろっ”とくずれる、軽やかでやさしい新食感。
キャラメルよりも早くとけるのに、クッキーらしい歯ざわりもほんのり残る、不思議でクセになる味わいです。
濃厚なミルクのコクと甘みが口いっぱいに広がりますが、甘すぎず、素材の自然な風味を活かしたやさしい甘さは、千本松牧場牛乳ならでは。
珍しいスイーツがお好きな方はもちろん、お土産にもぴったりなサイズ感で、どなたにも喜ばれる新スイーツになる予感がしました。
ちなみに「千本松のホロッホー」は、口に入れた瞬間“ほろっ”とくずれる食感と、鳥獣保護区域に指定されている牧場のシンボルともいえるフクロウの鳴き声「ホーホー」を掛け合わせたネーミングなんだとか。
可愛らしいネーミングですよね。
「PURE MILK プリン」に新フレーバー「ストロベリーミルク」「キャラメルミルク」が登場
以前より人気のミルクプリンは牧場内の工房で1点ずつ手作りされ、素材は牛乳・生クリーム・砂糖・ゼラチンのみ。余計なものを加えず、千本松牧場自慢の牛乳の甘さと香りをそのまま味わえる“ピュア”な美味しさが魅力の一品です。
この那須千本松牧場の人気スイーツ「PURE MILK プリン」に、ストロベリーミルクとキャラメルミルクの2種類の新フレーバーが仲間入りしました。
フレッシュないちごの酸味とミルクのやさしさが調和するストロベリーミルク、香ばしいキャラメルとミルクがとけ合うキャラメルミルク、それぞれがミルクの魅力を引き立てる逸品。
環境にやさしい循環型酪農で育まれた牛乳の美味しさを、ぜひこのプリンで体験してみてください。
循環型酪農の取り組みを伝えるアンバサダー、那須千本松牧場公式キャラクター“セボン”登場
約1,200件の応募から選ばれた、那須千本松牧場の公式キャラクター「セボン」
そのフォトスポットが、新たに千本松テラス内に登場しました。
さらに、「セボン」をあしらった7種類のオリジナルグッズも販売スタート。牧場が取り組む“循環型酪農”の理念を楽しく伝えるアイテムがそろっています。
なかでも注目は、セボンのワンポイントが可愛いトートバッグ。環境に配慮したGRS認証*のリサイクル素材100%を使用し、A4サイズがすっぽり入る実用的なサイズ感です。外側にポケットが付いている、ちょっと珍しいデザインもポイント。
そのほか、ハンドタオルやマスキングテープ、そしてお米由来の素材“ライスワックス”を使った「キットパス」とのコラボによる牧場オリジナルキットパスも登場。お子さまのいるご家庭や、ギフトにもおすすめです。
那須千本松牧場の思いが込められた、やさしくて楽しいグッズたち。訪れた記念やお土産に、ぜひ手に取ってみてください。
*GRS認証:グローバルリサイクルドスタンダードは、最終製品に含まれるリサイクル材料の含有量を追跡・検証するための自主的な製品規格のこと。サステナビリティを促進するための国際的な認証基準として広く認識されています。
リニューアルは「はじまり」- 地域とつながる牧場のこれから –
グランドオープン当日は、テープカットセレモニーも開催されました。
セレモニーの中で、寺本敏之会長は、
「栃木や那須塩原の産品を“那須のマルシェ”として全国の皆さまに届け、実際に“食べて”“触れて”いただき、地域の魅力を深く知っていただけるような情報発信基地にしていきたい」と展望を述べたうえで、
「この牧場のリニューアルは完成ではなく、ここからがスタート。継続的に価値を提供しながら、地域への貢献を続けていきたい」と話し、今後も新たな設備や仕掛けを次々と展開していく意欲を語りました。
また当日は、渡辺美知太郎・那須塩原市長も出席され、「自然豊かな千本松エリアにおいて、観光はもちろん、再生可能エネルギーをはじめとする環境への取り組みなど、さまざまな分野で今後も連携を進めていきたい」と語りました。
那須千本松牧場と地域とのつながりが今後どのように広がっていくのか、その取り組みにも注目が集まります。
那須千本松牧場とは
「PURE MILK FARM」ブランドの発信基地として
那須千本松牧場は、ホウライ株式会社が運営する、“土から育てる、きれいなミルク「PURE MILK FARM」”をコンセプトにした循環型酪農と優しい飼育環境が特徴の那須塩原の牧場で、「持続可能な循環型酪農」の実践を通じ、環境負荷の低減と地域活性化に取り組んでいます。
広大な敷地で自ら育てた牧草を乳牛に与え、牧場内で生まれる堆肥を再利用することで、自然と調和した酪農を実践しています。
那須千本松牧場は、訪れるすべての方に、自然と触れ合いながら“PURE MILK FARM”の魅力を体験していただける場を提供し、「環境に優しい牧場体験」をより充実させ、那須塩原の情報発信基地としての役割をさらに高めていきます。
施設コンセプトは【牧場感を満喫できる施設へ】
東京ドーム約176個分の広大な敷地で、日本遺産に指定された那須野が原の一部を構成する、60種類以上の野鳥や動物が生息する鳥獣保護区に位置する牧場です。自然環境を守りつつ、人と自然が共生できるサステナブルな施設づくりにも力を入れています。
私たちが大切にしている「循環型酪農」と「強みの生乳」について
- 自然と100年以上共生し続ける中、自社畑の牧草・コーンにより乳牛を育て、牧場内の牧草を食べた牛の排泄物はたい肥原料の一部とし、再び土づくり、牧草づくりへと循環させる「持続可能な循環型酪農」に取り組み、環境負荷削減、食の安全、社会的価値の創造に対しひとつの回答を示すことを目標としています。
- フリーストール牛舎で、歩き回れる環境を提供し、搾乳もストレスを抑えて行い、本州では最大規模の約500頭の乳牛(ホルスタイン)を育てています。
- 400ヘクタールに及ぶ広大な森林を計画的に管理・育成することで、酪農による発生量の約2/3に相当するメタンガスを吸収している計算になり、持続可能で環境負荷の少ないカーボンニュートラルな牧場を目指しています。
- 1日の生乳生産量は、約7~9トン。生乳の生産から乳製品の加工、さらに観光牧場としての活用まで、一貫した生産ラインを持つことで、品質管理と食のトレーサビリティを向上させ、日本の総人口の35%が集中する首都圏へ乳製品等を供給する牧場として、都府県酪農の新たなモデルの実現を目指します。
- 自社で大切に育てた牛から採れる生乳は、「さっぱりしているのにコクがある」唯一無二の味わいが特徴です。
那須千本松牧場が大切にしている 循環型酪農の取り組みについて
https://www.senbonmatsu.com/info/JyunkangataRakuno_pamphlet.pdf
編集後記
取材当日は、春の陽ざしに恵まれた穏やかな一日。満開の桜並木を歩きながら、牧場スタッフの皆さんに案内していただいた牧場内には、広大な自然の開放感と、牧場らしい温かみが満ちていました。
訪れるたびに感じるのは、スタッフの皆さんのやわらかで丁寧な対応。そして、今回のグランドオープンであらためて心に残ったのは、牧場全体に漂う「心地よさ」でした。
この空気感は、広大な牧場の開放感からだけではなく、私たちの五感が「美しい」「心地よい」と自然に感じる景観が、細部にまで心を配って丁寧にデザインされているからこそ生まれていると感じました。
広さの中に温もりがあり、自然の中に洗練がある。
そんな絶妙なバランスが、牧場全体をやさしく包み込んでいました。
また、牧場内では、小さなお子さん連れのご家族や、ワンちゃんと一緒の方々が思い思いにくつろぎ、自然とともに過ごす時間を楽しんでいる様子が印象的でした。
そして今回のグランドオープンに訪れて実感したのは、これは単なる“再生”ではなく、確かな“進化”であるということ。
整備された新施設や、美しく整えられたランドスケープには、地域とのつながりや未来へ想いが込められており、まさに「ひらかれた牧場」としての新たな姿が形になっていました。
酪農や景観整備、商品づくり、イベント開催まで、そのすべてに「自然との共生」「土から育てる」という那須千本松牧場の哲学が貫かれており、自然とともに歩むその姿勢に心を打たれました。
このリニューアルをきっかけに、那須千本松牧場がますます多くの人にとっての「記憶に残る心地よい居場所」となっていくことを願っています。
ぜひ足を運び、ご自身の五感で“心地よい体験”を味わってみてください。