八十八夜 – 日本の雑節を楽しむ –

夏も近づく八十八夜

野にも山にも若葉が茂る

あれに見えるは茶摘みじゃないか

茜襷に菅の笠

この「茶摘み」の歌のフレーズにある「八十八夜」とは、節分や彼岸と同じ日本の雑節の一つです。

2月4日ごろの立春から数えて88日目がその日にあたり、この頃以降は霜が降りなくなるため、霜に弱い茶葉の新芽を摘んだり稲作を始める時期の目安として知られています。

茜襷(あかねだすき)と菅(すげ)笠を身につけ茶摘みをする人たちの見える風景を詩にした歌が有名ですが、八十八夜の日に積んだ一番茶を飲むと病気にならない、という言い伝えも。この頃にはぜひ新茶を嗜みたいところです。

今回は、八十八夜の由来や、関係する工芸品である茜襷の茜染、また美味しい日本茶についてお話しします。

0 Shares:
You May Also Like
続きを読む

七夕の節句 – 日本の節句を楽しむ –

毎年7月7日の七夕は、五節句の中でもよく知られている行事のひとつ。 伝説のなかでは、織姫と彦星が一年に一度の再会を果たす日、そして私たちは笹飾りの短冊に願いごとを託すロマンチックな日です。 端午の節句のように、子供の成長…
続きを読む

社日 – 日本の雑節を楽しむ –

日本には、季節の変わり目を把握するための節目の日として「雑節」という暦日が設けられています。 節分やお彼岸が雑節にあたりますが、「社日」のことはご存知でしょうか? 「しゃにち」と読むこの節は年に2回、春分と秋分に最も近い…
続きを読む

日本の長寿祝い – 伝統的な歳祝いの習わし –

「還暦のお祝いに、赤いちゃんちゃんこを着て……」 有名人や芸能人の還暦の際、こうしたニュースを見たことがあるかもしれません。 どうして還暦になると赤いものを身に付けるのか、不思議に思ったことはありませんか? これは、「歳…
続きを読む

「水」と共に暮らす日本の文化

すべてのいのちの源である、水。 人間の体は約60%が水分と言われており、私たちは日々、水の恩恵を受けて生きています。 洗うための水、飲むための水、料理するための水。私たちの暮らしに欠かせない水は、昔からさまざまなかたちで…
続きを読む

二百十日・二百二十日 – 日本の雑節を楽しむ –

主に農業の時期の目安として伝わってきた日本の雑節のひとつ、「二百十日(にひゃくとおか)」は、立春から数えて二百十日経つ頃にあたります。およそ九月一日ごろであり、古来から日本列島に台風が来襲する頃として知られています。 稲…