日本六古窯の一つに数えられる越前焼。焼き締めのシンプルな陶器であり、鉄分を多く含んだ黒褐色の土肌が素朴で、絵付けなど華美な装飾のない、侘びた風情のある陶芸です。
越前の土は耐火度が高く頑丈に焼き上がるため、古くは大甕などの大きなうつわを得意とし、また壺のような貯蔵用品やすり鉢などの台所用品など、日用品を中心に生産していました。
今では「越前焼」として知られていますが、そう呼ばれるようになったのは、越前焼が六古窯として認められるようになってからのこと。それまでは「織田焼」また「熊谷焼」という集落の名前にちなんだ名前の方が馴染んでいました。
実は、1948年頃、古陶磁研究家の小山冨士夫氏に見出されるまで、越前焼は衰退の途にあったのです。
今回は、日本の民藝らしい趣ある越前焼について、その歴史や特徴を学んでみましょう。