季節とうつわ -大寒(だいかん)-

1月20日ごろより始まる「大寒(だいかん)」を最後に、二十四節気が一巡しました。2月4日の立春までの間のこの季節は、旧暦において一年の中で最も寒い季節とされています。

街ゆく人も暖かいセーターを着込み、モコモコと着膨れする時期。雪だるまと並ぶと、まるで兄弟のようです。

前の節気の「小寒」からこの「大寒」の間は「寒中」または「寒の内」といい、寒中見舞いの葉書を出す風習がありました。昔の人たちは最も寒い季節に親戚や友人たちが元気にしているかどうか、お互思いやっていたのですね。

武道においては「寒稽古」の季節でもあります。最も厳しい寒さから逃げるのではなく、その中に身を置いて稽古をすることで精神統一を図り、気を引き締めるということ。

また、寒中の水は「寒の水」と呼ばれる、発酵食品をゆっくり熟成させる上質で清潔な水であり、味噌や醤油、酒を仕込むのに最適とされています。そうした昔の人の知恵を知ると、今年は「手前味噌」を仕込んでみるのもいいかもしれない、と思えるものです。

人の気も自然界も寒さにキュッと引き締まる季節。春の到来が待ち遠しいですが、ここでも季節の隠れた喜びを見つけるために、日本人の感性を呼び起こしてみましょう。

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