沖縄の久米島は「紬の島」とも呼ばれます1。
久米島は本島から西方へおよそ100キロの位置に浮かぶ島であり、旧琉球王朝の頃から紬が作られていたといわれています。
中国大陸や東南アジアの貿易の中継地であった琉球諸島には、さまざまな貴重な品物や文化、技術が流れ込みました。
それらの技術を参考にし、沖縄では独自の工芸技術が発展してきました。
そして、15世紀の後半に中国から養蚕織機が伝わったことが、「久米島紬」のはじまりと伝えられています2。
民藝運動の主導者である柳宗悦をはじめ、多くの工芸の愛好家を魅了した久米島紬。
その歴史は、近代以降に島の主要な産業となるまで苛酷な歩みでした。
久米島紬の美しさ、その精神を知るために、まずはその歴史から紐解いてみましょう。
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