香りとは、不思議なものです。
無色透明で空気中に漂っていて、カタチがないのにはっきりと分かる。
「香り立つ」と言いますが、まさに香りとは立ちのぼるように感じられます。
あなたの記憶に残る香りは、どんなものでしょうか。
例えば、春風に乗って運ばれてきた、どこかで咲いた花の、ほのかに甘い香り。
あるいは、祖母の家に立ち寄ったとき、台所から漂ってきた、煮物のやさしい香り。
香りは、特別な瞬間だけでなく、日々の何気ない暮らしの中で、そっと寄り添ってくれています。
目には見えなくとも、香りの印象は私たちの感情や記憶と深く結びついています。
そして香りは、私たちの心と体にもやさしく働きかけてくれます。
たとえば、集中したいとき、気分を落ち着けたいとき、リフレッシュしたいとき。
その場に合った香りを選ぶことで、気持ちにそっと寄り添ってくれるのです。
そこで今回は、お部屋ごとに「香りのゾーニング」をほどこして、暮らしにリズムと心地よい感情を吹き込む方法を紹介します。